「匠の蔵」誕生物語( 3 )プレミアムビアグラス
ビールの泡立ちの研究からスタート
毎年、新たな1アイテムを発表していくことになった「匠の蔵」プロジェクト。
3年目の2007年は比較的すんなりと、「ビールをもっと美味しく飲む」をテーマに進めることに決まりました。
時代はまさに、プレミアム・ビール旋風が起きていたからです。
ではなぜ、このようなユニークな形状になったのでしょうか? その秘密は…
2005年「焼酎グラス」、2006年「徳利&盃」と2度続けてヒットを果たした匠の蔵プロジェクト、3年目は青年部部長をいくたひろみ氏にバトンタッチし、第3弾となる商品開発に取りかかりました。
プレミアム・ビールがブームの予感。ビールが一番売れるだろう…しかも家庭で飲むなら今は圧倒的に350ml缶が主流の時代。ならば「350ml缶をもっと美味しく飲んでもらうためのグラス」という提案はどうかと、ターゲットはスムーズに決まりました。 そして早速、恒例ともなった視察へ。ビール工場に足を運んだ商品開発チーム一行が、得たのは「ビールの泡」というテーマでした。
ビール缶のプルトップを開けてそのまま飲む場合、対流が起こらず泡立ちが不足しますし、鼻を使ってビールのもつ豊穣な香りを楽しむことができません。
そこで缶ビールをグラスに注いだときに、マイルドな泡立ちを起こし、香りをかいで楽しめる形状を目指して、試作品作りが始まりました。
ビールメーカーに教わったのは「ほどよい泡立ちがビールにフタをして、香りが逃げない」ということ。
そこで考案したのが飲み口に「泡止め」となるカーブを付けて、泡立ちを長持ちさせるということでした。しかも縁仕上げは非常にシャープにし、ビールのキレを高める工夫を施しました。
女性にも持ちやすいフォルムを追求
茶筅(ちゃせん)を逆さにしたような、下部を細めに絞り込んだ曲線形状は、ビールを注ぐ際の対流効果を考慮しています。
またグラスを手で持つとき、女性の手のサイズでも握りやすい、心地よい胴回りサイズを追求しました。
350ml缶ビール用グラスというコンセプトが非常に明快だったため、商品開発自体には焼酎グラスや徳利ほど、時間がかからなかったといいます。が、3度目という余裕も含めてデザインバリエーションにはさらに力が入り、商品ラインナップは42種類にも及びました。
「手頃な1680円の白磁から、贈答向きの12600円の北斎まで、価格帯も大幅にラインナップを拡げてみました。その結果、販売個数の差が、ヒット商品とそうでない商品で大きく開いてしまったのですが、トータルとしては発売1ヶ月間の焼酎グラスの記録をいきなり塗り替える、うれしい結果となりました」
焼酎、日本酒、ビールとお酒の器が続けて3度のヒットを果たした「匠の蔵」。翌2008年が明けると、さすがに次からはお酒から離れ、食器の商品企画に転換しようではないか…という意見も聞かれるようになりました。
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※次回、第4弾「極上のカレー皿」へと続きます。